せんくらの楽しみ方

■ 高山圭子(アルト)

(1)2006年06月04日

初めまして、アルトの高山圭子と申します。この度仙台クラシックフェスティバルに出演させていただくことになりまして、本当に嬉しく、楽しみにしています。これを機会に是非高山圭子の名前を覚えていただきたいな、と思います。

今回はバヤン奏者のアレクサンダー・シェブチェンコさんとピアニストの石川祐介さんと共演させていただくリーダーアーベントと、第九でのアルトソロを担当させていただきます。素晴らしい共演者の皆さんとご一緒できる事を本当に感謝しています。
 
ウクライナ出身のバヤン奏者、アレクサンダーさんとは今回で4回目の共演となります。彼との出会いは、留学先のウィーンでたまたま私がアレクサンダーさんの演奏を聴く機会がありまして、そのときに、「なんてすごい楽器なんだろう!!!」と感激したところから始まります。そのとき私はアレクサンダーさんの”手”にオーラを見たのです。それまで、聴いたことも見たこともなかったその楽器に魅了されたのです!

アコーディオンというと、なんとなく民謡なんかには合う素朴な楽器というようなイメージがあったのですが、私が聴いたのは、それとは違うまるでパイプオルガンのような音色、そして時にはオーケストラのようにも聞えてくる、なんて不思議な楽器なんだ!と、そして聴いてるうちに、いつかこの人と一緒に演奏をしたいと思うようになりました。

それから数年が経ち、いろんな縁が重なって、夢が叶いました。それ以来何度か共演させて頂いて、今回このような素晴らしい機会を与えていたことに、目には見えない縁のようなものを感じます。

いつもはピアノで演奏している曲をバヤンの演奏で歌います。自分で言うのも何ですが、なかなか素敵だと思います。是非アルトとバヤンという異色コンビですが、遊びに来てみてください。もちろん素晴らしい石川さんのピアノもお楽しみに!!

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(2)2006年06月05日

前回ウィーンの話が出たので、ウィーンと言えばと、私がどうしても話しておきたい方のことをこの場を借りてお話しさせていただきたいと思います。

私には、初めてウィーンに行った時からずっとお世話になっている方がいます。ウィーンに留学したことのある方なら知らない人はいないというくらい有名な台湾人の方で、みんなから”お母さん”と呼ばれています。お母さんは日本語が上手で、ウィーンで”弁慶”という日本食レストランとペンションを経営しています。

それこそ今をときめくたくさんの著名な音楽家の方たちがお母さんのレストランへ足を運び、飢えをしのいでいたらしいです。私もその中の一人で、今でも、ヨーロッパに行った時は何の用もなくとも、ウィーンへ立ち寄り、お母さんの日本食を食べに行くのが習慣になっています。行くと必ず注文するのが、”鳥のから揚げ”と”餃子”そして、お母さんがいつもサービスしてくれる”味噌ズッぺ”(味噌汁の事です)。

日本ではありがたくもなんともないこの味噌汁が、外国では、感動を誘う食べ物になるのですから不思議です。そして、お母さんの独特の日本語。お母さんの口癖は、”確かにい〜”と”メイビー”。この言葉を聞くと、あー、ウィーンだなあ、と感じる私は変でしょうか?長く滞在していた事もありますが、ウィーンに着いた時は、家に着いたかのような安堵感があります。それはきっと、このいつも行くと笑顔で迎えてくれるウィーンのお母さんがいるからでしょうね。

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(3)2006年06月06日

最近私は専らドイツ歌曲をレパートリーとして歌っていますが、そこには私の先生の存在がなければありえないことでした。私の先生はスイス人のバーゼル音大の先生だった方ですが、私はこの先生に出会ってから音楽の楽しさ、素晴らしさ、歌う事の喜びを感じることが出来るようになりました。

それまでは、「練習しなくてはいけない、歌わなくてはいけない、」だった私の歌が、練習したい、歌いたいに変わったのです。(もちろん、練習したくない時は今でもありますが・・・)他の人にとってはどうかわかりませんが、私にとっては先生は人生にとっての救世主とでも言いましょうか、そのくらい偉大な方なのです。その先生と出会わなければ、私は音楽をやめていたかもしれないですね。

もちろん音楽だけではないと思いますが、人生というのは、出会いによって大きく変わるものですね。私は幸いにも素敵な人達に出会う事ができて本当に感謝です。

話は変わりますが、私は飛行機が嫌いで、日本からヨーロッパへ行く時はあきらめますが、大陸続きのところはほとんど電車で移動をしています。飛行機嫌いと言えば思い出すのはチェチーリア・バルトリ。彼女はあまりの飛行機嫌いのため、日本にもなかなか来ることが出来ないようで、今年の日本公演も13年ぶりとか。ちなみに彼女は先生の息子さんでチューリヒ歌劇場を拠点に世界で活躍するバリトン歌手の、奥様でもあります。

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(4)2006年06月07日

私は、演奏活動の他に、いくつかの合唱団を指導していますが、小学生の合唱団、高校生、20代、5、60代の方たちと、本当にいろいろな世代の方たちと音楽を通してお付き合いをさせていただいています。私の理想は、その年齢にしかできない音楽を作る事です。

コンクールなんかを聴きに行くと、プロ顔負けの演奏をしている子供達がいます。もちろん素晴らしいことですが、子供なのに大人みたいな声を出して歌っているのを聴くと、少し残念な気がしてしまいます。子供には子供にしか出せない声や、子供にしかできない音楽があると思いますし、できればそれは壊さないでその中で最善の演奏ができたら最高だと思うのです。

私がここ何年かお付き合いさせていただいている高校生の合唱団があります。そこの子供達は実際歌の技術は必ずしも上手いとは言えません。ですが、演奏を聴いていると、とても心を動かされます。彼らが純粋に音楽が好きなんだということが伝わって来るのです。ですから、彼らのコンサートはお客様はみんな感動してくれます。

音楽と言うのは本来こういうものであって欲しいと思ってしまいます。ともすればどうしても技術だけに走りがちになってしまいますが、(もちろん技術は大事だと思いますけど)、でも、技術だけでは音楽ではなくなってしまうような気がします。そもそも、音楽は作曲者が心を動かされ、それがメロディーとなって現れてきたものではないでしょうか。私自身、人の心を動かす力を持つ音楽に感動し、それを伝えたくて歌い手になったのです。秋のコンサートで私はそれをどれだけ伝えることができるのでしょうか。乞うご期待です。

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(5)2006年06月08日

今回共演させていただくピアニストの石川祐介さんとは、昨年の秋にとあるレストランで出会いました。石川さんのことはいろいろな方から聞いていたのですが、実際お会いした事はありませんでした。

彼と一緒に食事をしていた方は私の知っている方で、隣の席で、一緒にお話をしているうちに、変な話ですが、笑いのツボが一緒だったので、なんとなく、「この人のピアノと合うかな」と思って、「もし機会があればご一緒に」という話になったのです。
 
寺の孫娘だからかもしれません。自分で言うのもなんですが、私の感はなかなか当るのです。他の人から見たら、適当に見えるかも知れませんが、結構この感は自分で信じているんですよ。で、結局当りました!!彼は本当に素晴らしいピアニストです。今回も私とだけでなく、仙台フィルのトップチェロ奏者原田さんとも共演されます。こちらもお聴き逃しなく。

私、笑いのツボだけでなく音楽のツボも合うというところを秋にはお見せしたいです。

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(6)2006年06月09日

初めまして。このフェスティバルにピアノで参加させて頂きます石川祐介です。

仙台市で宮城県沖地震の前年に生まれ、高校まで仙台に住んでおりました。その後山形. フランスのパリ、富山と経まして現在は東京に住んでいます。改めて書いてみると色々な土地に住んだなぁ、と実感します。

全ての土地が良い思い出で、引越の度に出会う新しい環境が現在ある僕の音楽観に大きく影響したのだと確信しています。僕の場合、素晴らしい音楽から影響を受けることはもちろんですが、音楽以外のことからも大いに影響を受けるみたいです。それは日常生活であったり、風景、建築物、テレビ番組であったりゲームなど多種にわたります。

ある作品を演奏しているときに、「あ、なんかこの部分は!!」と思ったのが、 ファイナルファンタジーの とてもファンタジックな場面であったり、ある建築物の壮大さを真上から覗いていたり。日常で経験できないような空想じみたことを音楽と照らせ合わせてイメージする傾向があるようです。軽い妄想癖なのでしょうか。いや、しかし、音楽には少なからずこういったことが必要であるのだと言い聞かせております。雑学、そしてイマジネーション。即ち引き出しの数が多ければ多いほど人生においても豊かになると思いますし、何より得だと思います。

さて、そうなるとどのような音楽につながるのか。これは皆様がどのような耳で聴いてくださるかにかかっております。では、10月のコンサートでは高山さんとどのようなイマジネーションを創造できるか、お楽しみに!!

ピアニスト石川祐介

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(7)2006年06月10日

高山圭子さんに期待します!

高山圭子さんが在仙音楽家の中から抜擢され、今般、仙台クラシックフェスティバルに出演されるとのこと、「熱狂的に」支持します。高山さんは、誰をも魅了する声を持っています。まさに天性のものでしょうが、それに加えて熱心な精進の賜物であることも見逃すことはできません。

高山さんが「仙台バッハ・アカデミー」のクルト・ヴィトマー氏のマスタークラスに現れたのは2000年頃でした。彼女はスイスバーゼル音楽院の看板教授ヴィトマー氏をウィーンのマスタークラスで知って、仙台のクラスにやってきたのです。その年以来春秋、年2回のマスタークラスを欠かさず受講するだけでなく、ファドゥーツ(リヒテンシュタイン)、ヴェルグル、リンツ(オーストリア)、南チロル(イタリア)、ハンブルグ(ドイツ)などのヴィトマー氏のマスタークラスを受講しながら研鑚を積んでいる様子には見事なものがあります。

その間に少しずつ活動のワクを広げ、メサイアや、第九をはじめ、マタイ受難曲やヨハネ受難曲(こちらはペルト作曲)などのオラトリオのソロでは、深い感動的な表現で聴くものを魅了しました。このように精進にいとまのない人ですが、一方では人懐っこく、気さくで彼女が友達になれないような人は誰もいないのではないかと思えるようなキャラクターの持ち主です。

今回もバヤンの名手シェヴチェンコ氏と共演しますが、彼との出会いも確かウィーンでの演奏会がきっかけで、その後何度か共演の音楽会が実現しました。声楽家としてやっていくには天性の声や音楽性があるだけでなく、たゆみない努力が生涯要求されます。私は高山さんにそのような声楽の王道を、しかし高山さんらしさを堅持し、高めながら一歩一歩歩いていって欲しいと思っています。

全日本合唱連盟副理事長
仙台バッハ・アカデミー音楽監督
作曲家、合唱指揮者
今井邦男

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