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福田進一(ギター)

2007年09月16日

福田進一

牛タンの図/

美食家ロッシーニを称えたアルバム(?)

「ロッシニアーナ(コロムビア)」

ギターの福田進一です!
今年も「せんくら」に出演させて頂きます。
また仙台に行けて、何が嬉しいってアナタやっぱり「牛タン」であります。
そりゃ、演奏会も重要なんだけど…
やっぱり「牛タン」。

実は私、牛タン塩焼き定食なら、せんくら開催中、三日連続でもOKです。
主食にしようかと思います。
ただし人生の折返し点を超え、ただいまメタボリック街道をまっしぐら。
なので、健康のため我慢してます。(それと東京だと仙台で食べるほど美味しくないのよ。何故?)

仙台に着いたら、まずする事。
1)熱々のご飯の上に、ジュウジュウと炭火で焼いた厚めの牛タン様を乗せ
「えいやあっ!」と気合いもろともかっこむ。
(あっ!一味唐辛子をかけるの忘れちゃいけない!)
2)これまたコクとうまみの凝縮されたテールスープ様(素晴らしい文化!思わず敬語や)のお力添えを賜りながら、嚥下する。

嗚呼、なんという快感!

これをロッシーニに食わせたかった!
あと一ヶ月であの仙台の牛タン様に再び会える!

 
2007年09月17日

福田進一

これが本場の「上海蟹」!

昨年は第1回「仙台クラシックフェスティバル2006」の、しかも朝10時からのオープニング演奏。
一番最初に弾かせて頂きました。
実は、仙台駅に到着したのは本番の15分前でした。
あの時の演奏会に間に合うか合わないかというスリルとサスペンスは、
私の音楽家人生のハイライトと言っても過言ではありません。
演奏活動を始めて20数年私はまだ一度もキャンセルというのをしたことがないのです。

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これは、そのキャリアを死守したある男の記録である…
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私は中国の上海音楽院ギター科の客員教授を仰せつかり、時々教えに行っています。
昨年はちょうど「せんくら」の直前に上海でのレッスンとコンサート予定が入りました。

まあ普通、どんな演奏会でも前日にはその地に到着して準備するものです。
私は上海→成田→東京駅(あるいは羽田)→仙台という前日に到着する旅程を選びました。

ところが某航空会社のお姉様の一言が私の気持ちを変えたのでした。
「あのう、お客様、上海から仙台へは直行便がございますが…」
え〜!?仙台まで乗り換え無しなん?
「それって、チョー良い感じ〜?」
私はためらわず直行便を選んだのでした。
が、これが大失敗。

明日に続く
to be continued !

 
2007年09月18日
福田進一

さて当日、上海から日本までは快適なフライトだったのですが、なんだか仙台上空で揺れ始めました。
「お客様、あいにくではございますが強風のため仙台には着陸できません。当機はこれより関西空港へ向かいます。」
おいおい、そりゃ困るんよ。なんで成田に降りないのよ。
(この時点で成田も着陸不能だったようです)
さて、関空で次の羽田行きを予約するも、これまた飛ぶ気配無し。

マネージャーに電話。

「あのう、飛行機が飛ばないから、せんくら行けないのよ。これって初キャンセルかなあ?」
「ひえええええ。福田さんが飛ばないと、私の首が飛びますウ。這ってでも来て下さい」

てな、会話の後、新幹線に間に合わせて新大阪へ。
ところが、すでに東京行き最終は発車。
仕方ないなあもう!(怒)大阪駅へ。
次の頼みの綱は、夜行寝台特急「銀河」
これも、すでに満席。とほほほほほ。

と、ここで幸運の女神到来。一席だけキャンセルが出た!

やれやれ、というわけで寝台特急で東京へ。
翌朝6時過ぎに東京着。
なんでやあ(再び怒)仙台行き新幹線はすでに満席(タタリじゃあ!)
立ったまま仙台に。
9時20分過ぎ到着。タクシーの中で舞台衣装に着替える。
9時45分会場着。
ふらふらながらも、10時から45分弾き終える。

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なーんだ、箇条書きにしたらたいしたことないじゃん?
新聞にも載ったし。牛タンも食ったし。

 
2007年09月19日

福田進一

共演の長谷川陽子さんと

せんくら2007の共演者はチェロの長谷川陽子さんです。
彼女とは20年来の友達です。
2003年にはアルバム「WAVE〜ジョビンへのオマージュ」(VICC-60337)も出しました。
今回はその中から私の友人である偉大なギタリスト作曲家セルジオ・アサドの編曲したジョビン作品4曲や、ヴィラロボス、ニャタリといったブラジルの大作曲家の作品を披露します。

もうひとつのプログラムはシューベルトやファリャの名曲を集めたもの。
理屈抜きに楽しんで頂けると思います。

陽子さんとは久々の共演で、楽しみです。

 
2007年09月20日

「せんくら2007」での使用楽器について少し説明しておきましょう。今年は2つの異なった時代のギターを使用します。

皆さん御存知のクラシック・ギターと、もうひとつは本当のクラシック・ギター。クラシック音楽全盛期の1800年代に作られていたピリオド楽器です。

『えっ?本当のクラシック・ギター? 今のギターってクラシック音楽を弾く本当のギターじゃないの?』と思われるかもしれません。そうなんです。1700年代の終わりから1800年代初頭に、ギターはヨーロッパ全土に広まり、それまでの複弦(マンドリンやリュートのように弦が2本一組になっているもの)から現代のように単弦6本の楽器に変化しました。そして各国にギター職人が生まれていったのです。

1820年代前後に、最初に現れた名工は、ロンドンのL.パノルモ、ミルクール(フランス)のR.F.ラコート、そしてウィーンのA.シュタッフェルでした。これらの楽器で当時の名手たち、ソルやジュリアーニは「魔笛の主題による変奏曲」など、多くの古典ギターの名曲を生み出しました。

これはちょうどモーツァルトやベートーヴェンが、今日のピアノではなくチェンバロやペダル機能も未だ不完全なハンマークラヴィーアで名曲を残したのと似ています。最も重要な作品は、パリ、ロンドン、ウィーンなどで生まれたのです。『えっ?スペインじゃないの?』そうなんです。当時のギター文化は社交界を中心に発展したので、スペインはギターの故郷なのに、少し遅れをとったのでした。

19世紀、ヨーロッパ各地のギターは、それぞれ独自の音色を持ち、非常に優雅な、見た目も美しい楽器でした。しかし残念ながら、音色の種類が少なく、ロマンティックなクレッシェンドの表現力に欠けていました。そこに出現したのが、スペインの天才製作家アントニオ・デ・トーレス(1817−1892)でした。トーレスが偉大なのは、独自の力木の配列を考案し、数々の実験を繰り返して大きなボディーを設計し、最終的にはギターでロマン派の音楽を表現するための理想的な音響を開発した事です。今日、皆さんが御存知のクラシック・ギターは、ほとんどがこのトーレスを原型としています。

さて、せんくら2007の2つのソロ・リサイタルでは、このトーレスの影響を強く受けたエンリケ・ガルシア(1905)のレプリカ作品と、19世紀ギターの花形、ルネ・フランソワ・ラコート(1840)のオリジナル楽器を使用する予定です。お楽しみに!

 
2007年09月21日

福田進一

最新ソロ・アルバム
“郷愁のショーロ〜ラテン・アメリカ作品集 II ”

まず、最初の演奏会は、7日15時15分からイズミティ21の小ホールでおこなう“モダン・ギターによる南米音楽リサイタル”です。

この演奏会は、エンリケ・ガルシア(バルセロナ/1905年製作)を忠実に再現したルイジ・ロカット(トリノ/2006)の作品で演奏します。
豊かな和音の広がりと、濃厚な音色が特徴の楽器です。

プログラムは、ブラジルでは国民的なギタリスト、D.レイス(1916−1977)の残したブラジルのワルツ&ショーロ集(秋の薔薇〜カボクロ風に〜もしも彼女が訊ねたら〜ひとつのワルツとふたつの愛〜バイーア女の風情)
ちょうどピアノのエルネスト・ナザレーの音楽のギター版と言ってよいでしょう。非常にサロン的で、エレガントかつ楽しい音楽集です。

そして、南米最大の作曲家、ヴィラ=ロボスの「ブラジル民謡組曲」より数曲と、パラグアイの楽聖と呼ばれた天才ギタリスト、アグスティン・バリオスの名曲を3曲、ワルツ第3番〜郷愁のショーロ〜パラグアイ舞曲

これらは最新ソロ・アルバム
“郷愁のショーロ〜ラテン・アメリカ作品集 II ”(MM-1223) に含まれています。

 
2007年09月22日
福田進一

さて、19世紀ギター、ラコート(1840)を使ったリサイタルは10月8日15時15分から仙台市青年文化センター交流ホールで行われます。曲はフランスで活躍したスペインのギタリスト、フェルナンド・ソルの名曲中の名曲、モーツァルト魔笛の主題による変奏曲。そのライバルとして活躍したウィーンのイタリア人、マウロ・ジュリアーニのロッシニアーナ 第2番。これはオセロ、シンデレラ、泥棒かささぎなどロッシーニの名作オペラのアリアをつなげた音のポプリ(花束)です。

そして、ソルの愛弟子だったフランスのギタリスト、ナポレオン・コストが編曲したヨハン・シュトラウス1世による優雅なワルツ集。

さらに、そのコストのライバルであり、リストやショパンとも交流があった19世紀ギター音楽最後の名手J.K.メルツの民俗的作品ハンガリー幻想曲op.65-1。プログラムの最後に19世紀のギター音楽の中で最も勇壮で交響曲のような内容をもつソル/アグアド編曲のグラン・ソロ。

参考CDは以下の3点、是非お聴き下さい!
「19世紀ギター・デビュー (COCO-70452)」
「シューベルティアーナ(COCO-70858)」
「ロッシニアーナ(COGQ-5)」              

19世紀ギターは非常に繊細な楽器で、いつも扱いに注意しています。
このラコートを持って旅に出る事は滅多にありません。この秋、仙台の皆さんに披露出来る事を、私も楽器もワクワク、ドキドキ!楽しみにしています。
では、会場でお会いしましょう!